♪再録・魔法の藤本陽一

2024年3月15日(金)
【では、昔の歌には「力」があったのか、それはいつの時代にも通用するのかというと・・・(2014/12)】

先月は、最近よく言われる「歌の力」を疑ってみたのですが、今月は、昔の歌には「力」があったのか、それは時代を超えて今も通用するのか?ということについて疑ってみます。

確かに、それぞれの時代にフィットした歌が人生を励ましてくれることはあったのだと思います。決して今がそういう歌が全くない時代だとは思いません。しかし、いつの時代にも通用する歌というのは、実際どれくらいあるのでしょうか?それを数字として出すのは不可能なのだと思いますが、そういう歌を書くのは果たして可能なのでしょうか?時代背景を伴う歌は、時代や状況が変わると意味が分からなくなったり、意味が変わったり、意味を失ったりして共感しづらくなる可能性が出てきます。

例えば交通手段について触れている歌詞で、40年くらい前に「汽車で君に会いに行くよ〜♪」という歌詞があったとします。少し時代が進むと「飛行機で君に会いに行くよ〜♪」という感覚が当たり前になり、汽車の歌は共感しにくくなります。そして近い将来きっと「リニアモーターカーで君に会いに行くよ〜♪」になります。そうすると飛行機の歌に共感しにくくなるのはおろか、汽車の歌に至っては「何ですかそれ?」になります。

通信手段で言えば、「手紙をかくよ〜♪」「電話するよ〜♪」→「メールを送るよ〜♪」「SNSからメッセージを送るよ〜♪」といったところでしょうか。昔の歌では別れの手紙が涙で滲んだりした訳ですが、現在防水型のスマートフォンに送られてくる別れのメールが涙で滲むことはありません。そういえば昔は町中に、張り紙を張ったりする掲示板というものがあったのですが(今も郊外へ行くと残っています)、Web上の掲示板とは雰囲気が違います。このように、育った時代によって同じ言葉がまったく違った意味を持ってしまうということもあります。そういえば昔はポケベルなどという通信手段(興味のある方は調べてみてください)について書かれた歌もありましたが、現在では最早歌い継がれていません。こうして消えていく歌もあります。


歌が使い捨てで良いという訳ではないのですが、ある時代だけに必要とされる歌もあるでしょう。戦後の日本で活躍したある作曲家は「僕の歌なんて早く必要なくなって日本が明るくなればいい」と言ったのだそうです。消えていく歌にも重要な役目を果たした歌があるということなのでしょう。

いつの時代にも通用する歌にするために、時代背景が変わっても左右されない言葉だけを使って歌を書く、という一見賢い方法もありますが、時代に左右されない言葉を予想するのは非常に難しいし、もし売れる為だけという理由でそれを狙って書こうとするならばそれ自体が「歌の力」に対して不誠実だ、ということになります。時代に左右されずに残る歌というのは、結果論ではないでしょうか。

若い頃、僕はいつまでも残る歌を書こうと思い、書けると思っていました。しかし、こうして考えてみるとそんなものは狙って書けるものではありません。むしろ、いつまでも残る歌なんて書いてやるもんかコノヤロー、と思って2015年を迎えることにします。みなさん今年一年お世話になりました。来年も是非よろしくお願いします。


[コメントする]
[更新通知]

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
++新着日記++