♪再録・魔法の藤本陽一

2024年1月16日(火)
【作り手の耳。(2014/06)】

この『月刊・魔法の藤本陽一』を開設して2回目の「お客さんの耳。」というお題で「演じ手もお客さんとしての耳を持ち続けることを忘れてはいけない」ということを書きました。演じ手・作り手をやっている人は、聴き手に回った時もついつい分析をしてしまいがちです。

お客さんとは感想を感じるのであって分析などしないものである、と僕はずっと信じていたのですが、時代が進むにつれ分析しないお客さんは少なくなっている気がします。つまり「楽しかった」「つまらなかった」という“感想”ではなく「あそこはこうした方がいい」「このコード進行はどうのこうの」という“分析結果”を述べるお客さんが結構いる、ということです。

僕自身は作り手としての自分が制作過程についてあれこれ分析されるよりは制作結果の感想を聞かせて貰いたいたいと思っています。ところが最近は、特に洋楽に多いようですが、作り手自らが制作過程を発表するという傾向があります。いわゆる「デモ(作品の下書きのようなもの)」やNGテイクを発表するということです。これは、手品で言えば種明かしみたいなものだと僕は思います。特にベテランが過去の名作の種や仕掛けを自ら公開するのは珍しくありません。見る側(=聴き手)はそれを分かっていて手品を見て「あそこはこういう仕掛けになっているんだ」という分析を楽しむ、ということになるのではないでしょうか。みんな魔法を解きたがっているような感じがして、魔法使い・藤本陽一としては、これは決して喜ばしいことではありません。

作り手としての僕は創作のヒントが欲しくて分析をすることはあります。もしかしたら、作り手目線の聴き手は自分自身の中に既に作り手がいて、自分以外の作り手にはあまり偉大さを求める必要がないのかも知れません。そのことと、いわゆる“大物”が現れにくいことには関係性があるのではないか、と僕は思っていて、それについて「分析」したら何か見えてくるのではないかと思っています。分析に進展があったら、またここに書いてみますね。


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