♪月刊・魔法の藤本陽一

2017年4月1日(土)
【4月のお題・魔法が解けないために】
ライブというものは、自分では万全の体制で挑んだつもりでもお客さん受けが良くなかったり、逆に自分では凄く不調だと思っていても異様に盛り上がったりします。よく「ライブは生き物」という言われ方をしますが、確かに生き物と戦っているような感じがあります。

お客さん受けが良かった時に実は不調だった場合、「凄く良かったよ」と言われても「いや〜、いっぱい間違えて…」「本当はもっと出来るのに…」という言い訳をすることがありますが、今回は魔法使いとしての立場から、それは良くない、という話をします。

それは良くない、という考えは僕だけが持っていることではなく、特に新しい訳ではありません。

「本当はもっと出来るのに…」というのは、今日は凄く良かったというお客さんに対して「自分はこんなもんじゃない」と、自分を大きく見せたいという心理が働いていることの表れではないかと思います。
しかし、僕がお客さんだったら、「こんなもんじゃない」んだったらベストな状態を見せて欲しいと思うし、ベストではないことを認めるのならお金を返して欲しいとさえ思います。

「間違えたとか、ベストではなかったとかは黙っておけばいいんだよ」と言う人もいますが、僕もそう思います。それは、お金を返さなくていいようにお客さんを騙す、ということでは決してありません。

ここで僕の経験談を話します。

7、8年前に、とあるライブに出演したのですが、その頃プライベートでこの上なく酷い目に遭って(それは自分にも原因があったのですが)、もう精神的にボロボロの状態でした。
ライブをやりながら明らかに調子が悪いのが自分で分かる程だったのですが、どういう訳か凄く盛り上がりました。
僕は、自分がボロボロな状態だということは誰にも内緒にしたまま会場を後にしました。

実は、その日のライブをインターネット放送で流すという約束があって録画をしたのですが、後日確認してみると確かに自分で観ても調子が悪いという風には見えませんでした。
今観ても調子が悪いようには見えません。その頃のボロボロだった辛い気持ちは今も覚えているのですが、時間が経ってある意味お客さんと同じような感覚でライブを振り返ることが出来るようになった今、調子が良いときの自分のライブと何ら変わりがないように見えるのです。

その経験があるので、僕は「本当はもっと出来るのに…」「自分はこんなもんじゃない」ということは言わないし、言ってはいけないと強く思っています。これは物凄く実感しました。

良かったよ、と言ってくれたのに調子が悪かったことを明かすのは、自分はもっと出来るんだ、ということではなく、実はお客さんの反応を否定することになっているのではないでしょうか。良かったという反応にわざわざ傷を付ける必要はありません。それはそのままにしておくのが魔法というものではないでしょうか。

僕が自分は魔法使いだという時、こういう考えの下に言っています。ステージに上がる人は、みんな魔法使いであるべきであって、魔法は決して解けるべきではありません。

特に新しいことを言っている訳ではありませんが、今回は経験上実感したことを話してみました。



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