部分的卒乳･･･授乳の回数を減らしたり、授乳の時間を短くしながら、おっぱいは続けること。授乳の時間・回数を減らした分だけ、必要な栄養を食事や人工乳で補う必要があります。
急激な卒乳･･･断乳とも呼ばれます。ママが癌で化学療法が必要な時などは急激な卒乳が必要になるときがあります。赤ちゃんにとってトラウマになることもあり、ママも乳腺炎、膿瘍などのおっぱいトラブルを起こすことがあり、さらに急激なホルモンの変化によりウツ症状が起こることもあります。
計画的卒乳･･･子どもから自然に離れる時期が来る前に、ママのやめたい気持ちが強い時の選択肢。ゆっくりなペースで行うほど、急激な卒乳に比べて、お母さんと子どもの心身の負担が少ない。
自然卒乳･･･子どもの方から自然におっぱいを飲まなくなるまで授乳を続ける方法。自然卒乳の時期は他の発達段階がそうであるのと同様に子どもによって個人差が大きい。1歳未満での自然卒乳はおこりにくいと言われています。
卒乳の時期についての提言
イノチェンティ宣言：すべての赤ちゃんが４～６ヶ月までは完全に母乳だけを飲むことができるようにする。その後は、子どもたちに適切で十分な食べ物を補いながら２歳かそれ以上まで母乳育児を続けるべきである。
アメリカ小児科学会：最初の６ヶ月間は、水、果汁、その他の食品は一般的に完全母乳栄養児には必要ない。母乳育児は少なくとも１２ヶ月、それ以降はお母さんと子どもが望む限り長く続けることを勧める。２歳か、それより長期に母乳を飲ませることが、精神的身体的発達に害をもたらすという証拠はなく、母乳を飲ませる時期を制限しなくてよい。
UNICEF／WHO：母乳育児は短くとも２歳までは続けられるべきである。生後６ヶ月の初めには母乳に加えて適切な補完食を開始すべきである。
厚生労働省：離乳の開始はほぼ５ヶ月ころからである。離乳の完了とは形のある食物をかみつぶすことができるようになり、栄養素の大部分が母乳または育児用ミルク以外の食物からとれるようになった状態をいう。その時期は生後１３ヶ月を中心とした１２～１５ヶ月のころである。遅くとも１８ヶ月ころまでには完了する。
泣かせなくても、おっぱいは卒業できます
時期を決めて、子どもが自分から卒乳する準備ができる前に母親からの働きかけで卒乳させるか、それとも自然卒乳する時期まで待つかは、ママ自身が判断することです。周りからのプレッシャーや、一律に子どもの月齢で決めるものではありません。何か問題があるためにやめようとするのであれば、おっぱいをやめたことで本当にその問題が解決するのかどうか、もう一度よく検証したり考えたりしてみましょう。
母乳は飲ませ続ける限り出続け、長い期間飲ませても、母乳の質は変わることはありません。授乳する限り、抗体、ビタミン、酵素は母乳中に含まれていますし、おっぱいを通した母と子のふれあいによって精神的に子どもを満足させてあげることもできます。
それでもやはり卒乳させると決めたら、できるだけ時間をかけて、子どもの様子をみながら、１日の授乳回数を２～３日ごとに１回ずつ減らすくらいのペースでゆっくり進めていきましょう。「ゆっくりと、愛情をかけて」卒乳させることには、エネルギーがいりますが、母乳分泌を緩やかに減少させ、おっぱいの張り過ぎや不快感を防ぐこともできます。卒乳が子どもにとって、いい経験となるために、子どもの気持ちや好みをよく考えて、おっぱいを他のふれあいで補っていく必要があります。「ママは以前と変わることなく愛してくれているし、ちゃんと自分のことをわかってくれているんだ」と、子どもが感じることができるよう、ゆったりした気持ちにさせてあげることが重要です。
どんな子どもでも時期が来たら自分から進んでおっぱいにさよならしていきます。
《引用参考文献》
「母乳育児支援ブック」ＮＰＯ法人日本ラクテーション・コンサルタント協会編、メディカ出版 ペリネイタルケア２００９年夏季増刊
「だれでもできる母乳育児」ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル、メディカ出版、２００６年
「母乳育児支援スタンダード」ＮＰＯ法人日本ラクテーション・コンサルタント協会編、医学書院、２００７年
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