生後６ヶ月間母乳だけ（母乳以外の食べ物や飲み物、おしゃぶりをいっさい与えず、昼も夜も欲しがるだけ授乳している）で育て、その後も徐々に補完食（離乳食）を与えながら欲しがるだけの授乳を続けたアメリカの母親についての研究では、産後月経が再開するまでの期間は平均14.6ヶ月だったそうです。
一日の中でどれくらい母乳をあたえているか、その回数や間隔が月経の再開に大きく影響を与えます。赤ちゃんがひんぱんにおっぱいを飲むことによって、お母さんの体に次の妊娠のための準備（排卵）を始めるホルモンが出るのを抑えます。つまり、赤ちゃんがおっぱいをどんどん必要としている時には、まだ次の赤ちゃんと交替する準備があまりできてないともいえるでしょう。おっぱいがあまり必要でなくなってくると、妹や弟を迎える準備ができているということになります。これは授乳中のお母さんの体の大きな特徴です。
生理が始まらなくても大丈夫なの？
授乳性の無月経は、正常で健康な女性の生殖サイクルです。授乳性無月経は卵巣がん、子宮内膜がん、乳がんのリスクを低下させることと関係があるといわれ、女性の健康にとってたいへん意味のあることです。また、月経が休止している期間は、毎月の出血がないので貧血や体のだるさなどの問題をおこしにくくなります。しかも月経に伴っておこる緊張状態や感情の揺れも経験しなくてすむでしょう。
子ども1人あたり、約１４ヶ月月経がないと、その間の生理用品も節約できます。それに伴い、使用済みの生理用品を焼却するにせよ、埋め立てるにせよ、膨大な量の廃棄も節約することもできます。
生理が来ても授乳を続けていいの？
月経が再開すると、おっぱいの栄養はなくなってしまう、まずくなる、などと言われることもありますが、それには全く根拠がありません。母乳の中に含まれる栄養や免疫は、月経の再開による影響を受けません。おっぱいの色や味はもともと一定ではなく、たえず変化しています。一回の授乳の間にも赤ちゃんは味の変化を経験しています。しかし、月経の再開によってまずくなるということはありません。月経が再開したあとも、おっぱいは続けられます。安心してあかちゃんにおっぱいをあげましょう。
《引用参考文献》
「母乳育児支援スタンダード」NPO法人日本ラクテーション･コンサルタント協会 医学書院 ２００７年
「だれでもできる母乳育児」ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル、メディカ出版、２００６年
「母乳とダイオキシン」本郷寛子 岩波ブックレット ２００２年
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