母乳には、赤ちゃんが生後６ヶ月間に必要とする適切な量のカロリー・蛋白質・ビタミンとその他の栄養素に加え、必要な水分のすべてが含まれています。
その為、専門家の間では「生後６ヶ月間母乳を飲むことで、赤ちゃんはこの期間に通常必要としているすべてのものを摂取することができ、他の余分な飲みものも食べ物も必要ない」という意見で一致しています。
生後６ヶ月までに母乳以外の飲み物を飲ませてしまうと、その分母乳を飲む量が減り、母乳から得られたはずの栄養や免疫が得られなくなって、赤ちゃんにとって不利益が生じる可能性があります。
水分補給について
水分補給をしないと脱水になる、と思われるかもしれませんが、母乳の約87％は水分ですから、母乳をしっかり飲めていれば、赤ちゃんが必要な水分もしっかり足りています。
生後６ヶ月間はたとえ熱帯気候のような環境でも、水分や果汁は母乳で育てられている赤ちゃんに不必要なだけでなく、時に感染やアレルギーの原因になると言われています。
果汁について
果汁を与えることについては、次のようなリスクがあるとされ、アメリカ小児科学会では「生後６ヶ月未満の赤ちゃんには飲ませるべきでない」と勧告しています。
また、日本の厚生労働省も、離乳食を始める前に果汁を飲ませることは、赤ちゃんの栄養に悪影響を及ぼすとして、すすめていません。
果汁には栄養的な価値はなく、過剰摂取は栄養過剰や栄養不足につながる
果汁の過剰摂取は下痢、鼓腸、腹部膨満、むし歯につながる可能性がある
乳児用イオン飲料
乳児用イオン飲料は「風呂あがりや散歩の後に飲ませる」などと宣伝されていて、必ず飲ませなければならない、身体によいと思っている人もいます。しかし、イオン飲料は甘味が強く、クセになって他の水分をとらなくなったり、むし歯や肥満、食欲不振、栄養障害の原因となる可能性があります。さらに、知らないうちに糖尿病となり、時には意識を失う「ペットボトル症候群」に陥るリスクも潜んでいます。
イオン飲料は、病気の赤ちゃんや子どもが母乳や人工乳、野菜スープなどを飲めない場合に代用品として与えるものであり、健康な子どもには必要ありません。
おっぱいを飲んでいる赤ちゃんや子どもに下痢、発熱などによる脱水症状があるとき、まず優先して与えるのは母乳です。母乳には、水分・電解質・栄養・免疫と病気の赤ちゃんや子どもに必要なすべての成分が含まれています。
《引用参考文献》
「母乳育児支援ブック」ＮＰＯ法人日本ラクテーション・コンサルタント協会編、メディカ出版 ペリネイタルケア２００９年夏季増刊
「子どもに果汁を与えるリスクと適切な摂取方法についての勧告」米国小児科学会 ２００１年
「母乳と母乳育児に関する方針宣言」米国小児科学会 ２００５年改訂版
「授乳と離乳の支援ガイド」厚生労働省 ２００７年
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